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1998年7月31日 薬害エイズ: 公判で会議テープ再生 被害対策否定の実態判明 薬害エイズ事件で業務上過失致死罪に問われた元厚生省生物製剤課長、松村明仁被告(57)の第24回公判が31日、東京地裁(永井敏雄裁判長)で開かれ、1983年6月の厚生省エイズ研究班第1回会議の様子を録音したテープが法廷で初めて再生された。班長だった前帝京大副学長の安部英(たけし)被告(82)が会議で、非加熱製剤でHIV(エイズウイルス)に感染する危険性を強調しながら、国内血で作る安全なクリオ製剤への転換には強い難色を示し、被害を防ぐ有効な対策を早い段階で否定していたことが明らかになった。 録音テープの存在は6月17日の松村元課長の公判で検察側が明らかにし、内容をまとめた文書を証拠として提出した。この日の証拠調べでは、文書の内容を裏付けるため2本のテープが再生され、一部については検察側が要旨を読み上げた。 テープによると、会議で厚生省の担当者がクリオ製剤を投与された患者について「エイズ患者は出ていない」と説明した。委員だった大河内一雄・九州大名誉教授が「クリオの方が安全ならベースライン(治療の基本)に」と発言すると、安部前副学長が慌てた様子で「ちょっと待って。クリオとコンセントレート(濃縮製剤)と直接比較しようなんて思っていない」と反論した。 安部前副学長は当時、薬価の高い濃縮製剤の家庭療法を推進しており、薬価の低かったクリオに代えることは製薬会社や医療機関の間で抵抗が強く、前副学長の反論もこうした事情を念頭に置いたとみられる。 また、安部前副学長は血友病患者のエイズ対策に消極的な発言をした委員に対し、「(対策を)待ってなんておれない」と反論したが、その口調は相手を激しく非難するような切羽詰まった調子で、危機感の強さを示した。 会議の最後に、郡司篤晃・元生物製剤課長(60)は欧州での非加熱製剤の輸入禁止措置に触れ、「日本もある程度決断して、かなりドラスティックなことをやらざるをえない」「超法規的措置を取るとしたら、どの辺がやりやすいか」と踏み込んだ発言をしていた。 しかし、議論は交錯し、約5000人の血友病患者の4割が感染する被害を防ぐための有効な対策を打ち出すことができなかった。 |
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