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2000.2.24(木) 更新 インパク アメリカ横断ウオーク

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ニュース特集
薬害エイズ事件
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今でも殺人との思い 夫の写真に涙する妻



 「被害者は、肝臓の病気とばかり思っていたのに、ある日突然にエイズを宣告され、まさにならくの底に突き落とされた。全身の関節の痛みに耐え、やせ衰えながら、妻に支えられて二年余りの壮絶な闘病生活を送った揚げ句、ついに力尽きてこの世を去った」。この日の判決は、理不尽な被害をこう表現した。

 妻は、この日も定期入れの中に夫の写真をしのばせて傍聴席に座った。判決の瞬間、大きく肩を震わせ、大粒の涙を流した。判決理由の朗読中も被告らの背をじっと見つめ続けた。

 九三年秋、夫は関西の総合病院でエイズウイルス(HIV)に感染していることを知らされた。

 「どうして」。感染源を突き止めようと、夫は過去の闘病日記を調べ始めた。

 肝臓病で入院中の八六年四月一日の部分に、「クリスマシン50cc テンテキ」の一行があるのを見つけた。「クリスマシン」はミドリ十字の非加熱製剤の商品名。問い詰めて、やっと病院は、最後に残った一本を投与したことを認めた。

 夫は日記に〈この世から病院がなくなったらいい!〉との言葉を残し、妻に無念を訴えながら亡くなった。「夫は言う通りに治療を受けて被害にあった。裁判では医師の責任に触れられることはなかった」。医師への怒りも消えない。

 エイズへの偏見が渦巻く中で、家族は知人にも真の病名を告げることができず、葬儀や法要に際しても死因を伏せざるを得ないなど、筆舌に尽くすことのできない苦痛を味わった。

 閉廷後、大阪司法記者クラブで会見した妻は実刑判決に、「軽すぎる。今でも殺人罪だと思っている。私たち家族は一生、この事件を背負っていかなければならない」と改めて憤りをあらわにした。

 妻は東京地裁で審理が続く元厚生省生物製剤課長・松村明仁被告(58)の告訴人でもある。「ミドリ十字の三人が厚生省や医師に押し付けた責任が、ほかの二つの裁判でどう裁かれるのか、見つめていきたい」と考えている。

(2月24日)






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