![]() |
|
![]() |
|
|
|
![]() ![]() ![]() ![]() |
|
|
|||
|
2001年3月28日 薬害エイズ裁判: 安部被告に無罪判決 過失責任不問 東京地裁 血友病患者への非加熱血液製剤の投与を指示し、エイズウイルス(HIV)に感染、死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた元帝京大副学長の安部英被告(84)に対し、東京地裁は28日、無罪(求刑・禁固3年)を言い渡した。永井敏雄裁判長は「当時、大多数の血友病専門医は非加熱製剤の投与をしており、元副学長だけに過失を認めることは出来ない」と述べ、安部元副学長に過失責任を問うことはできないと判断した。判決は同じ罪に問われている元厚生省生物製剤課長の松村明仁被告(59)の判決にも影響を与えそうだ。検察側は控訴するとみられる。 裁判では、投与を指示したとされる1985年5〜6月当時、安部元副学長は非加熱製剤の危険性を認識していたか(予見可能性)▽別の手段を取ることで、患者の感染・死亡を避けることが出来たか(結果回避可能性)――が争点になった。 判決はこのうち、結果回避可能性の検討に重点を置いた。「非加熱製剤は代替製剤のクリオに比べ、止血効果や副作用の点で優れ、二つを比べた結果で非加熱製剤を投与し続けたことに、違反があったと評価できない」と判断した。当時、大多数の血友病専門医が同様の判断をしていたことを重視し、元副学長には「危険の大きい医療行為を選択した過失はない」と結論付けた。 この前提として判決は、予見可能性について、HIV抗体検査の結果が陽性になったことが直ちにエイズ感染を意味するとは限らなかったとの判断を示した。安部元副学長は米国のエイズ研究の第一人者だったギャロ博士から、帝京大の血友病患者48人中23人がHIV抗体陽性だったとの結果を得ていた。しかし、判決は「抗体陽性でエイズに対する免疫が成立しているという(逆の)文献もあり、ギャロ博士の文献もそのような可能性を指摘していた。検察官のような主張が成り立つかどうか、不明な部分があるとギャロ博士自身が認識していた」と述べた。 さらに判決は、感染したとしても85年当時は「日本人はエイズを発症しにくい」「エイズ発症には人種差がある」と指摘されていたことも挙げ、「非加熱製剤の投与が『高い』確率でHIVに感染させるとは認めがたい」と判断した。 また、安部元副学長の部下が「抗体陽性者がエイズを発症する」と証言したことについて「自己に対する責任追及を緩和するために検察官に迎合した疑いがあり、信用性に欠ける」と退け、「予見可能性はあったものの、その程度は低かった」と判断した。 死者500人以上を出している「戦後最大の薬害」の刑事責任は、医師、厚生官僚、製薬会社の3者が問われた。製薬会社の旧ミドリ十字の歴代3社長には昨年2月、大阪地裁で禁固2年〜1年4月の実刑判決が言い渡され、禁固3年を求刑された松村元課長には9月28日に東京地裁で判決が出る。 【山本 紀子】
|
![]() |
|
|
| Home | 毎日の視点 | 生活TIPS | スポーツ・芸能 | DIGITALトゥデイ | |
|
|
|
Copyright 2000-2001 THE MAINICHI NEWSPAPERS.All rights reserved. 毎日インタラクティブに掲載の記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。 著作権は毎日新聞社またはその情報提供者に属します。 |