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薬害エイズ 阿部元帝京大副学長判決要旨毎日の視点へ毎日の視点
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第5 エイズ研究班以後の結果予見可能性に関する事実関係

5.1 米国におけるエイズ発症者及び死亡者の増加
 エイズ研究班が終了した後も,米国におけるエイズ患者は増加を続け,昭和59年11月26日現在,サーベイランス定義に合致するとして報告されたエイズ患者数は6993名に達し,そのうち3342名が既に死亡したとされ,血友病患者のエイズ発症例についても,同年10月14日現在で合計52例となり,そのうち30名が既に死亡したとされるに至っていた。

5.2 エイズ原因ウイルス研究の進展
 昭和59年4月23日,米国厚生省のヘクラー長官は,ギャロ博士らの研究チームがエイズの病原体とみられるHTLV−Vと命名された新しいウイルスを分離することに成功したと発表した。ギャロ博士らは,「サイエンス」誌昭和59年5月4日号において,エイズ患者ら48名からHTLV−Vを分離したことや,エイズ患者やプレエイズ患者ではHTLV−Vに対する特異的な抗体の保有率が高いことなどを報告し,HTLV−Vがエイズの主な原因であること,これがHTLV科のウイルスであり,LAVとは異なると考えられることなどを示唆する4編の論文(以下「4点論文」という。)を発表した。
 他方,モンタニエ博士らもLAVの研究を進めていたが,やがて,昭和59年9月の仙台における第6回国際ウイルス学会などを経て,LAVとHTLV−Vとは同じウイルスであり,エイズの原因であるという説が専門家の間では広く受け入れられ,LAV/HTLV−Vなどと称されるようになり,その後,ウイルス分離国際委員会によりHIVという呼称が提案されてこれが受け入れられた。そして,このウイルスがレンチウイルス群と共通の特徴を有している旨も指摘されるようになり,昭和60年3月ころまでには,遺伝子情報の解析結果に基づき,HIVがレンチウイルスであるという見解がウイルス学者の共通認識となるに至った。

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