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■全国・海外
◆ 安部被告に無罪 薬害エイズ事件 |
製薬会社、旧厚生省、専門医の複合過失が引き起こしたとされる薬害エイズ事件で、血 友病の男性患者にエイズウイルス(HIV)に汚染された輸入非加熱血液製剤を投与し、 エイズで死亡させたとして業務上過失致死罪に問われた元帝京大副学長安部英被告(8 4)の判決公判が二十八日、東京地裁で開かれた。 永井敏雄裁判長は安部被告に無罪(求刑禁固三年)を言い渡した。 一九九七年三月の初公判で、安部被告は「非加熱製剤の投与は医学界の定説だった。被 告となることは納得がいかない」と全面無罪を主張。結審まで公判は五十二回に及び、血 友病治療の権威と言われた医師の責任をめぐり、検察側、弁護側双方が激しい論争を繰り 広げてきた。 検察側は「論文やシンポジウムなどでエイズの最新情報を得ていた安部被告は遅くとも 八四年十一月には非加熱製剤の危険性を予見できたのに、何の安全措置も取らなかった」 と指摘。当時の部下らが法廷で安部被告と相対し、検察側主張に沿った証言をした。 一方、弁護側は「安部被告に特別な知識はなく、他の専門医と同様に非加熱製剤の危険 性を十分知らなかった」とした上で、「(エイズに安全な)クリオ製剤は供給も治療効果 も不十分で、エイズの問題を考慮しても非加熱製剤を治療に使うメリットが大きかった」 と反論した。 起訴状によると、安部被告は八五年五―六月にかけ、帝京大病院で治療を受けた血友病 の男性患者に非加熱製剤を投与、男性はHIVに感染し、九一年十二月にエイズで死亡し た。(共同) |
◆ 増税で小作農家への転嫁認めず 最高裁 |
市街化区域にある農地に対する宅地並み課税をめぐり、税の増額を理由に地主が小作料 (賃料)を値上げできるかどうかが争われた二件の訴訟の上告審判決が二十八日、最高裁 大法廷(裁判長・山口繁長官)で言い渡された。判決は小作農家への転嫁を認めず、小作 側勝訴とした。 固定資産税や都市計画税が宅地並みに課税される市街化区域内農地では、税金が小作料 を上回る逆ざや現象が発生。借地している小作農家への課税額転嫁で下級審の判断が分か れ、大法廷が統一した判断を示すことになった。 争点は、小作料の変更理由を定めた農地法二三条一項の解釈。増額が認められるのは 「農産物の価格や生産費の上昇、その他の経済事情の変動」となっており、課税増額が 「その他」に含まれるかどうか明文化されていない。 この二件は、京都市西京区と奈良県天理市の農地をめぐり、京都市の小作農家が起こし た農地地代確定訴訟と、奈良県の地主が賃料増額確認を求めた訴訟。 地代確定訴訟で、小作農家は賃料年額一万九千円との確認を求めたが、京都地裁は「年 間約三十九万円」と認定し小作農家側が敗訴、大阪高裁では逆転勝訴した。賃料増額確認 訴訟では地主は奈良地裁で敗訴したが、大阪高裁では一部勝訴した。 地主側は「小作農家は農地法による保護を乱用している」と主張。小作農家側は「小作 料は通常の農地の収益の代価として決められるべきだ」と訴えた。 同様の訴訟は一九八九年にも最高裁大法廷に審理が回付されたが、和解が成立して判決 に至らなかった。(共同) |
◆ 北朝鮮の脅威増すと米分析 |
【ワシントン27日共同】米太平洋軍のブレア司令官は二十七日、上院軍事委員会で証 言し、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が今冬も含め二年連続で「過去最大規模の」軍 事演習を行ったことを明らかにし、北朝鮮の軍事的脅威は増しているとの判断を強調し た。 同時に証言したシュワルツ在韓米軍司令官は北朝鮮軍が演習などの結果「昨年より増強 され、質が向上、軍事境界線近くの集結も拡大し、攻撃力が増した」との分析を語った。 ブッシュ米政権は北朝鮮に対して強い姿勢で臨む方針を示しているが、二年連続の大規 模演習が明らかになったことで、北朝鮮に対し、通常戦力削減など緊張緩和の具体的な措 置実施を一層強く求めることになりそうだ。 大規模演習は昨年の冬、夏、今年冬と三回続いており、今冬の演習は二月に終わり、訓 練では多連装ロケット砲システムなど火砲部隊の戦力向上が図られた。 シュワルツ司令官は北朝鮮が保有するスカッド改良型ミサイルを「五百基以上」と指 摘。日本を射程に収めるノドン・ミサイルも「生産、配備を続けている」と述べた。 一九九九年九月の米朝合意で発射凍結を約束した長距離ミサイルのテポドンについては 「開発を続けており、重要な作業が進んでいる」と語り、エンジン燃焼実験の続行を示唆 した。 シュワルツ司令官は通常戦力の中で「最大の脅威」として、過去二年間で北朝鮮が軍事 境界線近くの配備を加速した多連装ロケット砲システム、自走砲を挙げた。 |
◆ 公娼制度百年の歴史に幕 台北 |
【台北28日共同】台北市の「遊郭」が二十八日午前零時(日本時間同一時)、公娼制 度の廃止と共に百年以上の歴史に幕を引いた。 二年前まで百三十人余りいた公娼も最後は四十二人に。小雨がぱらつく中、彼女らは店 の前で魔よけの線香をあげて「紅灯」の消える日を迎えた。 今後は、市から毎月一万五千台湾元(約五万六千円)の生活補助を受けながら転職の道 を探るが、不景気と平均四十歳を超す高齢化で転職も楽ではない。 台湾の遊郭は清朝末期に始まり、本格的に栄えたのは五十年に及ぶ日本統治時代。陳水 扁総統が台北市長時代の一九九七年、制度廃止を決めたが、公娼たちは「労働権」を主張 して廃止に抵抗。九九年一月、馬英九・現市長が二年間の廃止延期を決めた。 制度廃止については「私娼が増えるだけ」などと反対論も多く、台湾紙「聯合報」の世 論調査では、台北市民の五六%が、特定地域での公娼制度維持に賛成という。先進国では オランダのほか、アジアではシンガポールが制度を合法化している。(共同) |
◆ 松嶋菜々子さんの巨大広告 |
住友生命保険は二十八日、創立七十五周年と新商品のPRのため、人気女優の松嶋さん の写真を拡大した縦四十二メートルの日本最大の壁面広告を、東京都中央区築地七丁目の 東京本社ビルに掲げた。 松嶋さんは同社のイメージキャラクター。壁面広告では、白地にピンクの葉の模様が 入ったワンピースを身に着けた松嶋さんがあでやかにほほ笑んでいる。この日は、通勤途 中のサラリーマンらが顔を上げて見入る姿も見られた。 広告幕は縦約四十二メートル、横約三十三メートル、面積約千四百平方メートルで、ビ ルの二十三階部分からつり下げられている。特殊な網で作られており、オフィスからは網 戸のように見える。掲示期間は四月二十六日までの約一カ月間。(共同) |