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1997年9月22日

薬害エイズ公判:
安部被告の意向優先 14人に非加熱製剤投与



 「安部先生のイエスマンとして方針に従った。医師の良心に反すると言われればその通り。正当化するつもりはない」。薬害エイズ事件で業務上過失致死罪に問われた前帝京大副学長、安部英被告(81)の第8回公判が22日、東京地裁(永井敏雄裁判長)で開かれ、木下忠俊・帝京大教授(61)に対する4回目の弁護側反対尋問が行われた。木下教授はHIV(エイズウイルス)で死亡した帝京大病院の血友病患者14人について、非加熱製剤の危険性を認識しながら投与したことを認め、患者より安部前副学長の意向を優先させたことを悔いた。

 木下教授は弁護側の尋問に答える形で、同病院の血友病患者80人のうち、これまで38人がHIVに感染して16人が発症、14人が死亡したことを認めた。「証人が投与したのは」との問いに木下教授は「ほとんどだと思う。私の注射で感染したと思った」と述べた。さらに「安部先生に投与を指示され、従わざるを得なかった。遺族への謝罪はしていないが、自責の念を感じる」と、言葉を詰まらせながら語った。

 尋問では「死亡した14人全員の氏名を紙に書いてほしい」と求めた弁護側に対し、検察側が「被害者を匿名に扱うよう決めているので反対だ」と異議を唱え、弁護側が撤回する一幕も。また、弁護側が「あなたに刑事責任はあると思うか」と尋ね、検察側は「木下教授の投与と死亡の因果関係は立証されていない」と強い調子で尋問を遮った。

 最後に、木下教授は永井裁判長から「被告の指示といっても医師の立場として良心に反しないか」と問われた。「はい、そういう気持ちです。治療方針を変えるよう進言はしたが、それで自分の責任を正当化するつもりはない」。木下教授はこう述べて、計6回にわたった「師弟対決」を締めくくった。 【小出 禎樹】

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