


「感染者増わかってた」薬害エイズ松村被告



薬害エイズ事件で、業務上過失致死罪に問われた元厚生省生物製剤課長・松村明仁被告(59)が捜査段階で、「非加熱製剤を使用すればHIV(エイズウイルス)感染者が増えるとわかっていたが、血友病治療に代替措置がない以上、仕方がないと思った」などと供述していたことが二十五日、東京地裁で開かれた公判で分かった。
松村被告は公判では、「職務上できる限りのことをした」などとして一貫して無罪を主張している。
この日は、永井敏雄裁判長が、松村被告の捜査段階での供述調書を初めて証拠として採用し、検察側が調書の要旨を読み上げた。
それによると、松村被告は、厚生省エイズ分科会で栗村敬・鳥取大教授(当時)が一九八四年十一月、検査した国内血友病患者の二割以上がHIVに感染していると報告した内容を聞いた時の心境について、「これは大変なことで、来るべきものがきた、もう手遅れかもしれないと感じた。新たな感染者が出ないよう祈るような気持ちだった」と供述。非加熱製剤の使用継続を容認したことにも、「今から考えれば、祈るくらいなら、新たな感染者を出さないような方策を考えるべきだった。加熱製剤を急がせるだけでは不十分だった」と述べていた。
(8月25日)

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