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2001年3月28日

薬害エイズ裁判:
安部被告に安どの色 傍聴席からは怒声飛ぶ


 「本件当時、血友病について非加熱製剤によって高い治療効果をあげることと、エイズ予防に万全を期すことは容易に両立し難い関係にあった」。判決理由をゆっくりと述べる永井裁判長の声が続く。安部元副学長は静かに目を閉じたまま、耳を傾け、2度3度と大きくうなずく。時折、静まり返った傍聴席に目をやり、深く息を吸い込んだ。

 判決は、元副学長の責任を指摘した木下忠俊・帝京大教授らかつての「弟子」らの法廷証言にも触れた。「当時(非加熱製剤の)危険性を認識していたという論文を発表しておらず、被告人が退官した後の治療方針に照らしても、木下医師らが証言のような危険性を認識していたというのは不自然」。終始、うつむき加減で無表情だった安部元副学長の表情に、安どの色が浮かんだ。

 「判決の宣告を終了します」。永井裁判長が判決理由の朗読を終えると、傍聴席から「裁判官」と怒声が飛んだ。すぐさま裁判所職員が傍聴者全員に退室を促した。しかし、被告人席でノートを手に座ったままの安部元副学長と、立ち上がったままの傍聴人約30人との間で数分間、無言のにらみ合いが続いた。

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