


「今後も研究を」…無罪判決で安部氏弁護団



薬害エイズ事件の元帝京大副学長・安部英医師(84)に対する無罪判決を受けて、安部医師の弁護団は二十八日午後、東京・霞ヶ関の司法記者クラブで会見し、安部医師が閉廷後、「判決には理由も結論も満足している。亡くなった患者については、大変お気の毒だと思っている」と話したことを明らかにした。
安部医師と弁護団は判決後、判決内容について検討した。その際、安部医師は、ほっとした様子で、「今後も医師として血友病の治療と研究を続けて行きたい」と語ったという。
判決について、主任弁護人の弘中惇一郎弁護士は「大変妥当で、内容も立派な判決だ。検察側も控訴して時間を費やすのではなく、今後は薬害エイズに対する幅広い議論が展開する方向に進んで欲しい」と述べた。
一方、東京HIV訴訟原告団も同日午後、判決内容を検討したうえで二度目の会見を開き、「薬害について、『刑事法はすることがない』とサジを投げた判決だ」と厳しく批判した。非加熱血液製剤の投与を受けて死亡し、安部医師の起訴事実にもなった男性患者の母親が判決を傍聴し、「あれは息子の裁判ではない。あんなの(=判決文)紙切れじゃないですか」と怒りをあらわにしていたことも明らかにした。
夕方からは、被害者ら約二百人が都内で報告集会を開いた。参加者からは「怒りが収まらない」「涙が出るほど悔しかった」などの発言が相次ぎ、被害者の一人は「被害者の視点のない不当な判決だ」と訴えた。
(3月29日)

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