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2001年3月26日

エイズ裁判:
安部被告に28日判決 予見可能性が最大争点


 血友病患者に非加熱血液製剤を投与してエイズウイルス(HIV)に感染させ、死亡させたとして業務上過失致死罪に問われた元帝京大副学長、安部英(たけし)被告(84)に対する判決が28日午前10時、東京地裁(永井敏雄裁判長)で言い渡される。検察側の禁固3年の求刑に対し、元副学長は1997年3月の初公判から一貫して無罪を主張してきた。「血友病の権威」だった安部元副学長が非加熱製剤の危険性をいつ認識したかという「予見可能性」を裁判所がどう判断するかが最大の焦点になる。

 死者500人を超える戦後最大の薬害に対する刑事責任の追及は産・官・医の3ルートに分かれて行われ、判決は製薬会社の旧ミドリ十字の元社長3人(いずれも禁固2〜1年4月の実刑、被告側が控訴)に次いで2件目となる。

 安部元副学長は85年5〜6月、帝京大病院に通院していた20代の血友病男性患者に非加熱製剤を投与し、死亡させた責任を問われた。検察側は論告で、元副学長が遅くても84年11月までに外国製の非加熱製剤の危険を分かっていたと指摘した。その根拠として、84年9月、米国のエイズ研究第一人者だったギャロ博士に元副学長が依頼した抗体検査で、48人の血友病患者中23人が陽性だったことなどを挙げた。

 これに対し、元副学長側は、血友病専門医らの証人尋問を通じ、84〜85年当時は非加熱製剤によるエイズ感染の危険性は医師の間でも知られていなかったと反論した。元厚生省生物製剤課長の松村明仁被告(59)=業務上過失致死罪で禁固3年求刑=の公判でも、海外の研究者が同様の証言をしている。

 旧ミドリ十字の3元社長に対する昨年2月の大阪地裁判決は、86年1月には抗体陽性がエイズ感染を意味するとの学説が行き渡っていたと判断したが、それ以前は「混乱があった」と述べている。「血友病治療の第一人者」としての安部元副学長が、危険性の認識を抱いた時期を東京地裁がいつと判断するかが焦点となる。

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