薬害エイズ裁判、28日に東京地裁で判決

 「産・官・学」の複合過失とされる薬害エイズ事件で、業務上過失致死罪に問われ、禁固三年を求刑された元帝京大副学長安部英被告(84)の判決が、初公判から四年を経て二十八日午前十時、東京地裁(永井敏雄裁判長)で言い渡される。血友病患者らがエイズウイルス(HIV)に汚染された輸入非加熱血液製剤を投与され、千四百人以上が感染し約五百人が死亡した薬害。血友病治療の権威と言われた医師の責任がとわれている。

 帝京大病院第一内科長兼血液研究室の主宰者だった安部被告は同病院に通院していた血友病男性患者に対し、部下の医師に一九八五年五―六月にかけ三回にわたり非加熱製剤を投与させ、九一年十二月にエイズで死亡させたとして起訴された。

 裁判では、1)帝京大病院内の安部被告の職務と権限、2)非加熱製剤投与でHIV感染させエイズで死亡させる危険性をどの程度認識できたか、3)生命に危険がない場合、感染危険の少ないクリオ製剤を使うなど、非加熱製剤に代わる治療法はあったか―などが争点になった。

 検察側は「非加熱製剤の危険性を十分知り得たのに、何の安全措置も取らなかった」としたのに対し、弁護側は「当時はHIV感染率やエイズ発症率は低いとされていた」などと全面無罪を主張している。